2026年9月19日から10月4日まで、愛知・名古屋でアジア競技大会が開かれています(一部の競技は開会式より前にスタート)。アジアの45の国と地域が集まり、43競技・469種目を争います。日本での開催は1994年の広島以来、32年ぶりです。

テレビの前で子どもが「これ、やってみたい」と言い出す。そんな場面が、この2週間で何度もありそうです。そこで気になるのが、日本代表の選手たちは、いったい何歳から、どんな習い事をしていたのかということ。

この記事では、代表選手4人の子ども時代と、アジア大会の日本代表780人を対象にした研究データ、さらに最新の人気ランキングや費用まで、スポーツの習い事を考える保護者の方に役立つ情報をまとめました。

この記事の要点

  • 代表選手の子ども時代は一人ひとりバラバラ。2歳から始めた選手も、高校から始めた選手もいる
  • アジア大会代表780人の調査では、競技を始めた年齢は競技の種類によって6歳以上違う
  • 陸上の日本代表経験者で、小学生のとき陸上だけをしていたのはわずか10%
  • 公立小学校のスポーツ関連の支出は年平均約6.7万円。ピークは小学3年生

アジア大会の日本代表は、子どもの頃どんな習い事をしていた?

まずは、今大会の代表に選ばれている4人の選手の子ども時代を見てみます。どれも本人や家族が語ったインタビュー記事にもとづいています。

北口榛花選手(陸上・やり投)|水泳、バドミントン、体操、ピアノ…やり投は高校から

パリ五輪のやり投で金メダルを獲得した北口選手は、北海道旭川市で育ちました。幼い頃からスイミングスクールに通って自由形を得意とし、中学では全国大会にも出場しています。

小学生になるとバドミントンも並行して始め、小学6年生のときには団体で全国優勝。このバドミントン時代には、のちに日本代表となる山口茜選手と対戦したこともあるそうです。そのほかにも体操教室、英会話、塾、ピアノに通っていました。

やり投を始めたのは高校1年生。陸上部の顧問に誘われたのがきっかけでした。高校2年生でインターハイを制し、そこから世界の頂点まで駆け上がっています。本人は、リレーを走ったり投てきだけに偏らなかったのが良かった、と振り返っています。

張本智和選手(卓球)|2歳でラケット。でも小学1年からは塾と英語教室へ

両親はともに元卓球選手で、仙台で子どもたちに卓球を教えていました。張本選手は2歳になる前にはラケットを握り、ラリーを続けられるようになっていたといいます。

ここだけ聞くと「英才教育」を想像しますが、実際は違いました。小学1年生からは学習塾と英語教室に通っています。どちらも本人が「通いたい」と希望したものでした。母親は「卓球で生きていかなくてもいい」「卓球だけできればいいわけじゃない」と繰り返し伝えていたそうです。小学生の頃、父親との練習は週1回、長くても2時間ほどだったと報じられています。

池江璃花子選手(競泳)|兄と姉を見て、自分から「やりたい」

池江選手が水泳を始めたのは3歳10か月のとき。兄と姉が泳ぐ姿を見て、自分から「やりたい」と言い出したのがきっかけでした。

ピアノ、書道、そろばんも習っていましたが、本人いわく「ほかの習い事は全部、自分から辞めたいって言いました」。最後まで残ったのが水泳でした。

印象的なのは、小学生時代について「水泳が楽しいというよりも、水泳教室で友だちに会うのが楽しかった」と語っていることです。水泳そのものが楽しいと思い始めたのは、高校生くらいだったそうです。

山口茜選手(バドミントン)|5歳から、バドミントンが盛んな町で

山口選手がバドミントンを始めたのは5歳。生まれ育った福井県勝山市はバドミントンが盛んな地域で、身近に常にレベルの高い選手がいる環境だったといいます。

4人に共通していること

始めた年齢は2歳前から高校1年生まで、まったくバラバラです。それでも共通点が2つあります。

  • 本人の「やりたい」が起点になっている(池江選手は自分から、張本選手の塾や英語教室も本人の希望)
  • 1つのことだけをしていたわけではない(北口選手は水泳・バドミントン・体操・英会話・塾・ピアノ、池江選手も水泳のほかにピアノ・書道・そろばん、張本選手は卓球と塾・英語教室)

何歳から始めればいい?アジア大会代表780人のデータ

4人だけでは偶然かもしれません。そこで、もっと大きなデータを見てみます。

2014年の仁川アジア大会に出場した日本代表選手・候補選手を対象に、国立スポーツ科学センターの派遣前チェックで集めた回答を分析した研究があります(池田・勝亦・鈴木、体育学研究、2022年早期公開)。オリンピック競技の選手780人の、競技を始めた年齢の平均は次のとおりでした。

競技のタイプ 主な競技の例 男性 女性
採点系 体操、トランポリンなど 6.8歳 7.3歳
ラケット系 卓球、テニス、バドミントンなど 7.2歳 6.4歳
格闘技系 柔道、空手など 9.2歳 9.0歳
球技系 サッカーなど 9.4歳 10.2歳
記録系 陸上など(競泳は例外的に早い) 12.3歳 13.5歳
標的系 射撃、アーチェリーなど 12.6歳 14.5歳
水辺系 ボート、カヌーなど 13.4歳 12.1歳
出典:池田達昭・勝亦陽一・鈴木康弘「日本人一流競技者における競技開始年齢およびトップパフォーマンスに至るまでの期間」体育学研究(2022年早期公開)。対象は2014年仁川アジア大会の日本代表選手・候補選手のうちオリンピック競技の780人。競技例は論文中の記述と分類をもとに編集部で補足

体操や卓球の選手は平均6〜7歳で始めているのに対して、陸上や射撃の選手は12〜14歳。「早く始めた人ほど強くなる」のではなく、競技によって始めどきが違うことがはっきり分かります。

論文では、体操や卓球のように特殊な動きを身につける必要がある競技は早めに専門化して長い期間をかける傾向があり、陸上のように体力的な素質が結果に直結しやすい競技は、遅めに専門化したり、ほかの競技から転向したりする選手が多いと整理しています。陸上などについては「小学校の高学年もしくは中学校進学のタイミング」で専門化を考えるのがよい、とも提言しています。

冒頭の4人を当てはめてみると、きれいに一致します。卓球の張本選手は2歳前、バドミントンの山口選手は5歳(ラケット系=早い)。競泳の池江選手は3歳(競泳は例外的に早い)。そして陸上の北口選手は高校1年生(記録系=遅い)です。

陸上の日本代表経験者、小学生のとき陸上だけをしていたのは10%

もう一つ、日本陸上競技連盟が代表選手に行った「軌跡調査」も紹介します(渡邊將司、陸上競技研究紀要、2014年)。オリンピック、世界選手権、アジア大会、アジア選手権に出場した経験のある296人から回答を得たものです。

  • 小学生のとき、陸上競技だけを中心にしていた人は10%
  • 中学生では70%、高校生で98%
  • 中学・高校から陸上に移ってきた選手は、野球・ソフトボール、サッカー、バスケットボール、バレーボールからの転向が多い

世界選手権のやり投で銅メダルを取った村上幸史さんも、中学までは野球部で、陸上は高校からだったと紹介されています。同じ論文では、世界大会で10位以内に入った選手のほうが、子どもの頃に複数のスポーツを経験しており、12歳・15歳の時点でメインの競技の練習時間が短かった、という海外の研究も引かれています。

少し古い調査ですが、「小学生のうちから1つに絞らないと代表にはなれない」というイメージとは、ずいぶん違う結果です。

医師の団体も「思春期までは複数のスポーツを」と勧めている

米国小児科学会は、子どもの早期専門化に関する報告書(2016年)で、スポーツに興味のある子どもには少なくとも思春期までは複数のスポーツをすることを勧めています。けがやストレス、燃え尽きのリスクを下げられるからです。

あわせて、週に1〜2日はスポーツを休むこと、年に数回、1か月単位でその競技から離れることも推奨しています。2024年には、使いすぎによるけがや燃え尽きについての報告書も改めて出されました。

「休んだら置いていかれる」と焦る気持ちは自然ですが、休むことも練習のうちと考えてよさそうです。

2026年最新|子どもに人気の習い事ランキング

では今、実際にどんな習い事が選ばれているのでしょうか。るるぶKidsが2026年2月に実施した調査(0〜12歳の子どもを持つ保護者217人・のべ435人分)の年代別ランキングです。

順位 幼児(3〜5歳) 小学校低学年(6〜8歳) 小学校中・高学年(9〜12歳)
1位 水泳 27.9% 水泳 36.7% 学習塾 32.4%
2位 ピアノ 27.0% 体操 22.8% 水泳 28.4%
3位 英語・英会話 22.1% 英語・英会話 19.0% ピアノ 23.0%
4位 サッカー 17.2% ピアノ 17.7% 英語・英会話 16.2%
5位 体操 16.4% サッカー 15.2% 野球 12.2%
出典:るるぶKids「子どもの習い事に関する調査」(2026年2月13日、0〜12歳の子どもを持つ保護者217人・のべ435人分の回答)

スポーツでは水泳が全年代で上位。栄光ゼミナールの2025年の調査(保護者3,598人)でも、水泳は小学生・中学生・高校生のどの家庭でも7割以上が経験していました。低学年では体操、年齢が上がるとサッカーや野球などのチームスポーツが入ってきます。

同じ調査では、習い事をしている子の82.4%が1つか2つ。始めた年齢は未就学のうちが約6割でした。

スポーツの習い事、費用はどれくらい?

保護者にとって現実的に気になるのが費用です。国の統計と民間調査の両方から見てみます。

国の統計:公立小学校で年間約6.7万円、ピークは小学3年生

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、学校外で「スポーツ・レクリエーション活動」に使ったお金は、子ども1人あたり年間で次のとおりでした。

区分 公立 私立
幼稚園 26,602円 49,755円
小学校 66,529円 101,233円
中学校 33,990円 32,487円
出典:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」。スポーツ・レクリエーション活動への支出の年額。支出していない家庭も含めた平均

公立小学校を学年別に見ると、1年生60,478円、2年生66,241円、3年生77,598円(最多)、4年生76,429円、5年生66,018円、6年生52,582円。小学3・4年生で最も多く、高学年になると減っていきます。高学年で学習塾が増えていく時期と重なっています。

民間調査:習い事・塾を合わせて小学生で月1.6万円

ソニー生命が2026年2月に実施した調査(大学生以下の子どもを持つ親1,000人)では、習い事や塾などの学校外教育費は、小学生の親で月平均16,420円でした。全体平均は12,022円で、前年から4,150円減っています。教育資金に不安を感じる理由の1位は3年連続で「物価の上昇」(62.9%)でした。

また、るるぶKidsの調査では、習い事の月額費用は5,000〜10,000円未満が最も多く37.7%、2万円未満までで81.4%を占めていました。

月謝以外にかかりやすいもの

スポーツの習い事は、月謝のほかにもお金がかかりがちです。体験に行ったときに、次の点を確認しておくと安心です。

  • 入会金・年会費・スポーツ保険
  • ユニフォーム、シューズ、ラケットなどの用具(成長に合わせた買い替えも)
  • 大会の参加費、遠征や合宿の費用
  • 保護者の当番や送迎の負担(お金ではないけれど、続けやすさに直結します)

子どもが「友だちと」運動する機会は減っている

最後に、少し意外なデータを紹介します。笹川スポーツ財団が2025年に行った全国調査(4〜11歳、2026年3月公表)によると、運動・スポーツを「友だちと」する子は75.4%で、2015年から10.2ポイント減りました。反対に「習い事やスポーツクラブの仲間と」は58.1%で、2012年から12.3ポイント増えています。よく運動する「高頻度群」も37.0%で、2021年から8.4ポイント減っていました。

公園で鬼ごっこや缶けりをする時間が、習い事の時間に置き換わってきている、ということです。代表選手たちの子ども時代を思い出すと、決まった競技の練習だけでなく、いろいろな動きを遊びの中で経験していたことが土台になっていました。習い事を増やすことだけが、その代わりになるわけではなさそうです。

観戦をきっかけに「やってみたい」と言われたら

ここまでのデータと選手たちの話から、保護者にできることを整理します。

1. 「やりたい」を、本人の言葉から始める
池江選手は兄と姉を見て自分から、張本選手の塾や英語教室も本人の希望でした。親が選んで与えるより、本人が選んだものの方が、しんどい時期を越えやすくなります。

2. 1つに絞らなくていい
北口選手は水泳、バドミントン、体操、ピアノ…と、いろいろな経験を重ねたうえで、高校でやり投に出会いました。陸上の日本代表経験者でも、小学生のとき陸上だけをしていたのは1割でした。

3. 始めどきは、競技によって違う
体操や卓球は早め、陸上などは小学校高学年以降でも遅くありません。「今から始めても間に合わない」と焦る必要はないことが、データからも分かります。

4. 休むのも練習のうち
週に1〜2日は休む。これは医師の団体も勧めていることです。

5. まず体験してみる
テレビで見たときの「かっこいい」と、実際にやってみたときの「楽しい」は、別のものです。池江選手でさえ、水泳そのものを楽しいと思えたのは高校生の頃。最初は「友だちに会うのが楽しい」くらいで十分です。

憧れは、なぞるべき型ではなく、道を照らす光。

アジア大会で見た選手への憧れは、とても強いきっかけになります。ただ、その選手と同じ道をたどる必要はありません。選手たちの子ども時代がこれだけバラバラだったように、その子に合った道は、その子が選んでいけばいい。M-Raisingは、そう考えています。

まとめ

  • アジア大会の代表選手の子ども時代はバラバラ。共通点は本人の「やりたい」複数の経験
  • 代表780人のデータでは、始めた年齢は競技によって6歳以上違う
  • 人気No.1は水泳。スポーツ関連の支出は公立小で年約6.7万円、ピークは小3
  • 思春期までは複数のスポーツを。週1〜2日の休みも大切

M-Raisingでは、地域とジャンルから子どもの習い事・スクール・クラブを探せます。体験レッスンのある教室も多いので、観戦で生まれた「やってみたい」を、そのまま試しに行くことができます。

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よくある質問

スポーツの習い事は何歳から始めるのがいいですか?

競技によって違います。アジア大会代表780人の調査では、体操や卓球などは平均6〜7歳、柔道やサッカーなどは9〜10歳、陸上などは12〜13歳で始めていました。早く始めないと間に合わない、ということはありません。

1つの競技に絞ったほうがいいですか?

米国小児科学会は、少なくとも思春期までは複数のスポーツをすることを勧めています。陸上の日本代表経験者を調べた調査でも、小学生のときに陸上だけをしていた人は10%でした。

スポーツの習い事にはどれくらい費用がかかりますか?

文部科学省の調査では、公立小学校の子どもがスポーツ・レクリエーション活動に使うお金は年平均66,529円(月約5,500円)で、小学3年生が最も多くなっていました。月謝のほかに、入会金、用具、大会や遠征の費用がかかる場合もあります。

参考資料・出典

  1. 池田達昭・勝亦陽一・鈴木康弘「日本人一流競技者における競技開始年齢およびトップパフォーマンスに至るまでの期間:競技種目差および男女差に着目して」体育学研究(2022年3月早期公開)https://doi.org/10.5432/jjpehss.21063
  2. 渡邊將司「日本代表選手はいかに育ってきたか:日本陸連による代表選手の軌跡調査より」陸上競技研究紀要 第10巻(2014年)https://www.jaaf.or.jp/pdf/about/publish/2014/2014_11.pdf
  3. 文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa03/gakushuuhi/kekka/k_detail/mext_00002.html
  4. ソニー生命「子どもの教育資金に関する調査2026」(2026年3月24日公表/2026年2月・1,000人)https://www.sonylife.co.jp/company/news/2025/nr_260324.html
  5. 笹川スポーツ財団「子ども・青少年のスポーツライフ・データ2025」(2026年3月24日公表/2025年6〜7月調査)https://www.ssf.or.jp/thinktank/sports_life/datalist/2025/index.html
  6. るるぶKids「子どもの習い事に関する調査」(2026年2月・保護者217人)https://kids.rurubu.jp/article/226458/
  7. 栄光ゼミナール「2025 小中高生の習い事に関する調査」(2025年1月・保護者3,598人)https://www.eikoh.co.jp/news/torikumi/p143062/
  8. American Academy of Pediatrics, “Sports Specialization and Intensive Training in Young Athletes” Pediatrics 138(3), 2016 publications.aap.org
  9. American Academy of Pediatrics, “Overuse Injuries, Overtraining, and Burnout in Young Athletes” Pediatrics 153(2), 2024 publications.aap.org
  10. 北口榛花選手:月刊陸上競技「【コラム】やり投金メダリスト・北口榛花 水泳、バドミントン、リレー…」(2023年8月26日)https://www.rikujyokyogi.co.jp/archives/112732
  11. 張本智和選手:Yahoo!ニュース特集「卓球で生きていかなくてもいい――張本智和・両親の子育て力」(2017年8月21日)https://news.yahoo.co.jp/feature/725//Number Web(2017年7月29日)https://number.bunshun.jp/articles/-/828559
  12. 池江璃花子選手:スポーツクラブ ルネサンス「ルネサンス選手コース出身の池江璃花子が語る『水泳の魅力』」(2023年7月28日)https://www.s-re.jp/magazine/shittoku/23/
  13. 山口茜選手:JSPO Plus「フェアプレイインタビュー【バドミントン】山口茜選手」(2019年8月27日)https://media.japan-sports.or.jp/interview/GCpcn

※各選手の代表選出状況は、日本陸上競技連盟、日本水泳連盟、日本バドミントン協会の発表および報道にもとづいています(2026年9月時点)。
※紹介した調査は、それぞれ対象・方法・年齢層・回答者数が異なります。個々の数値をすべての子どもにそのまま当てはめられるものではありません。
※選手の子ども時代のエピソードは、公開されているインタビュー記事にもとづいています。

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