せっかく始めた習い事なのに、ある日「行きたくない」と言い出す。
どう答えるのが正解なのか分からないまま、とりあえず「もう少し頑張ってみたら?」と言ってしまう。

これは、かなり多くの家庭で起きていることです。
2025年から2026年に公表された調査を並べると、
「やめたい」は例外ではなく、習い事をしている子どものほとんどが一度は通る道だと分かります。

この記事では、保護者側の調査と子ども本人に聞いた調査の両方を突き合わせて、
「やめたい」と言われたときに何を見ればいいのかを整理します。

保護者の約9割は「子どもがやりたがるか」で選んでいる

栄光ゼミナールが2025年1月に実施した調査(小1〜高3の子どもを持つ保護者3,598人)によると、
習い事を選ぶときに重視することの1位は「子どもがやりたがっているか」で約9割
2位が「曜日や時間帯の都合が合うか」、3位が「将来に役立ちそうか」でした。

さらに、長く続いている習い事についてその理由を聞くと、
約8割が「子どもが続けたいという気持ちがあるから」と答えています。

つまり、いまの家庭は「親が決めて子どもにやらせる」構図にはなっていません。
本人の気持ちを起点にして選び、本人の気持ちで続いている。
ここは、多くのご家庭がすでにできていることです。

それでも、子どもの約7割は「やめたい」と思ったことがある

一方で、ニフティが2024年12月〜2025年1月に子ども本人に聞いた調査(小中学生2,158人)では、
こういう結果が出ています。

  • 習い事をしている割合は、小学生で84.2%、中学生で72.7%
  • 週4日以上通っている子が36.8%
  • 約7割が「今までにやめたいと思った習い事がある」と回答

保護者側の調査でも、習い事をやめた経験は7割以上の家庭にあり、
やめたきっかけの1位は「子どもが辞めたいと言った」で4割超でした。

自分から「やりたい」と言って始めた習い事でも、途中で「やめたい」と思うのが普通。
数字はそう言っています。

ここが大事なところです。「やめたい」と言い出したことは、
人選びや教室選びを間違えたサインとは限りません。
ほとんどの子が一度は通る場所に、いま立っているだけかもしれない。

理由の1位は「上手くできないから」だった

同じニフティの調査で、やめたい理由として最も多く挙がったのは
「上手くできないから」でした。
続いて、周囲と比べて感じる劣等感、塾では成績が上がらないこと、
遊ぶ時間や自由な時間を優先したい気持ち、先生との相性、
そして自分の意志で始めたわけではなかったこと、が挙がっています。

注目したいのは、1位が「嫌いになったから」でも「飽きたから」でもないことです。
「上手くできないから」――つまり、
好きかどうかの問題ではなく、できなさの問題でつまずいている子が多い。

これは大人にも覚えがあるはずです。
興味はあるのに、思ったように上達しない時期が続くと、行くこと自体が重くなる。
そこで「気持ちが足りない」と解釈してしまうと、打つ手を間違えます。

「やめたい」は1種類ではない

調査に挙がった理由を並べると、「やめたい」は少なくとも4つに分けられます。
そして、どれなのかによって、親にできることがまったく違います。

  • ① 上達の壁(上手くできない・周りと比べてしまう)
    → 比べる相手を変える。3か月前の本人の動画や作品と比べると、変化が見えることが多い。
    先生に「いま何ができるようになっているか」を具体的に聞くのも有効
  • ② 人との相性(先生が合わない・友達関係)
    → 本人の努力では動かせない領域。クラスや曜日を変える、教室を変えるのは「逃げ」ではなく調整
  • ③ 時間の圧迫(遊ぶ時間がない・宿題が終わらない)
    → 習い事の中身ではなく、生活全体の設計の問題。回数や曜日を減らすだけで解決することがある
  • ④ そもそも自分で選んでいない
    → ここだけは、続け方の工夫では埋まりません。選び直しが必要

「やめる」か「続ける」かの二択で考えると、この区別が消えてしまいます。
先に聞くべきなのは結論ではなく、どの壁に当たっているのかのほうです。

やめる時期は小学3・4年に集中している

栄光ゼミナールの調査では、習い事をやめた時期にはっきりした山がありました。
小学生の家庭では小学3・4年生、中高生の家庭では小学5・6年生の間が最多です。

この時期は、学校の勉強が急に難しくなり、宿題も増え、
友達との遊びの予定も本人の意思で動き始める頃です。
やめる理由の2位が「勉強の優先順位が高くなった」であることも合わせて考えると、
多くの場合これは気持ちが冷めたのではなく、時間が足りなくなっただけだと分かります。

先に挙げた「③ 時間の圧迫」です。
この場合、やめる前に試せることがあります。週2回を週1回にする、
曜日を宿題の少ない日に移す、送迎の負担が軽い教室に変える。
続けるかどうかを、気合いではなく時間割の問題として扱うということです。

いまの習い事事情は「増やす」より「続ける」フェーズ

るるぶKidsが2026年2月に実施した調査(0〜12歳の子どもを持つ保護者217人・のべ435人分の回答)では、
現在の姿がこうなっています。

  • 習い事をさせている家庭は73.1%
  • 習い事の数は1つが49.7%、2つが32.7%(1〜2つで82.4%)
  • 月額費用は5,000〜10,000円未満が最多で37.7%、2万円未満が81.4%
  • 始めた年齢は未就学のうちが約6割

人気の習い事は、幼児期は水泳・ピアノ・英語、小学校低学年は水泳・体操・英語、
中高学年になると学習塾が1位に入れ替わります。

数字が示しているのは、多くの家庭が1つか2つを、月1万円前後で、就学前から続けているという姿です。
掛け持ちで詰め込む話ではありません。
だからこそ、その1つが「やめたい」になったときの重みが大きい。

子どもの学校外の時間は、この11年で2割減っている

もう一つ、背景として知っておきたいデータがあります。

東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が約2万組の親子を11年間追いかけた調査
(2026年6月公表)によると、子どもの学校外の学習時間はこの11年で約2割減少しました。
さらに小中学生で「勉強が好き」と答える子が減り、
「なんのために勉強しているのか分からない」と答える子が全学年で増えています

習い事の話に引き付けるなら、こういうことです。
「なんのためにやっているのか」が本人の中で薄れると、時間は簡単に他へ流れる。
そしてそれは、言葉で説明して納得させられる種類のものではありません。

「やめたい」と言われたときに、親ができる3つのこと

1. 結論の前に、どの壁かを一緒に言葉にする

「やめたいの? 続けたいの?」と聞くと、子どもは答えを選ばされます。
そうではなく、「どのへんがしんどい?」「先生のこと? できないこと? 時間のこと?」と、
先ほどの4分類を手がかりに分解していく。
自分の状態を言葉にできた時点で、半分は解決に向かいます。
やめたい理由の1位が「上手くできないから」だったことを思い出してください。
それは説明されなければ、外からは「やる気がない」にしか見えません。

2. 決めるのは本人。ただし決め方の枠は大人がつくる

「今日で決めなさい」と迫るのではなく、
「あと3回行ってから、もう一度話そう」「発表会まではやって、そこで決めよう」と、
判断する日を先に置く
衝動でやめる決断を避けつつ、決定権は本人に残せます。

保護者の9割が「子どもがやりたがるか」で選んでいるのなら、
やめ方についても同じ姿勢で扱うのが自然です。
選ぶ権利だけ渡して、やめる権利を渡さないのは、少し不公平かもしれません。

3. 上手い下手ではなく、変化を見る

「上手くできないから」でつまずいている子に必要なのは、励ましよりも証拠です。
半年前の動画、最初に書いた字、初めて弾いた曲。
他人との距離ではなく、過去の自分との距離を見せる。
これは家庭でしかできないことです。教室は、その子の去年を覚えていません。

「憧れ」は、なぞるべき型ではなく、道を照らす光

私たちがこのサイトを運営するときに、拠り所にしている一文があります。

人は誰かの理想になるために生きるのではない。
自分自身の人生を、自分の意思で選び、歩むために生きている。
私の役割は、そのための選択肢と機会をつくり、必要なときにそっと背中を押すこと。

習い事には、憧れの力があります。
憧れの選手、憧れの演奏、憧れの作品。それは強い燃料になります。

ただ、憧れは道を照らす光であって、なぞるべき型ではありません
その子が誰かの理想像に近づくために続けるのではなく、
その子が自分の道を選ぶための燃料として使う
「やめたい」と言われたときに慌てなくて済むのは、この順番を持っているときです。

まとめ:やめる前に、見るところがある

  • 保護者の約9割は「子どもがやりたがるか」で選んでいる。選び方は間違っていない
  • それでも子どもの約7割は「やめたい」と思ったことがある。通常の出来事
  • 理由の1位は「上手くできないから」。好き嫌いではなくできなさでつまずいている
  • やめる時期は小3・4年に集中。多くは時間が足りなくなっただけ
  • だから、結論の前に「どの壁か」を分ける。打つ手はそこで決まる

そのうえで、教室や先生との相性が理由なら、変えるという選択は前向きなものです。
合わない場所で我慢を続けることが、続ける力を育てるわけではありません。

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掲載は無料で、見る側も登録は要りません。
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参考資料・出典

  1. 栄光ゼミナール「2025 小中高生の習い事に関する調査」(2025年1月11日〜21日/小1〜高3の子どもを持つ保護者3,598人)

  2. ニフティ「習い事に関する調査」(2024年12月24日〜2025年1月20日/小中学生2,158人)※リセマム記事より

    https://resemom.jp/article/2025/03/10/81187.html
  3. るるぶKids「子どもの習い事に関する調査」(2026年2月13日/0〜12歳の子どもを持つ保護者217人・のべ435人分)

    https://kids.rurubu.jp/article/226458/
  4. 東京大学社会科学研究所・ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2025」(2026年6月30日公表/親子約2万組・11年間の縦断調査)

    https://company.benesse.co.jp/newsrelease/education/2026/06/30_6276.html


※本記事で紹介する調査結果は、それぞれ調査対象、調査方法、年齢層、回答者数が異なります。
個々の数値をすべての子どもにそのまま一般化できるものではありません。
※保護者に聞いた調査と、子ども本人に聞いた調査が混在しています。
数値を比較する際はその違いにご注意ください。
※本記事の調査情報は2026年9月時点で確認したものです。

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